ジェイコーディ株式会社

最近の大手製造業の課題と取り組み

最近の大手製造業の課題と取り組み

大手製造業の動きを見ながら、中小製造業は何をしておく必要があるのか?

日々大手製造業を周り、様々な課題を伺い提案しているが、最近多いキーワードは、試作レスとさらなるフロントローディングだ。そして、開発、設計段階の徹底した効率化に取り組んでいる。

例えば大手自動車業界の背景にあるのは、2020年各国の燃費規制が強化される見込みで、その対策と、さらなるグローバル化のようだ。

2020年の燃料規制へ対応するためには、これまでの部位毎の既存の延長線上の開発ではダメで、機能や仕様から考え、既成概念を根底から崩した開発が必要になる。
また、ある程度進んだ段階で初めて試作して、コストや性能が合わず設計をやり直すというプロセスを、抜本的に縮める必要があり、かなり上流からバーチャル試作検討が出来る環境を作るなど、開発や設計のやり方を徹底的に変えて行こうとしている。

もう一つはさらなるグローバル化が進む中で、どうやって日本に製造業を残していくのか?
開発技術も生産技術もコストの安い海外の拠点へそれらを開示せざるおえない中で、日本の開発、生産は常にイノベーションを起こし続けなければ生き残れない。イノベーションが起こしやすい環境を作る必要がある。
セクショナリズムが強かった某大手自動車メーカーでも、企画段階から同じ部屋に集まり、開発や生産技術のメンバーが膝詰めで議論して開発するようになって来ている。上流がスペック、コスト、品質、生産のし易さなど、同時に検討し、バーチャルで試作をせずに議論できる環境を作ろうとしている。

自動車業界以外でも同じようなキーワードは当然ある。ただ、自動車のように一台の自動車の試作に膨大なコストがかからない製品であれば、バーチャル試作する環境を整えるよりは、作って検証した方が確実で早いという話もある。それでも部分的なシミュレーション環境については、前向きに検討している。

市場ニーズや市場クレームを把握して、マーケティングに活用していく、という領域については、ビッグデータを分析していこうという取り組みをしている。まだ詳細な活用シーンは明確になっていないが、様々なシステムなどに散らばったデータを集めて色々な角度から分析さて行こうとする動きは活発化してきた。
何をいかに高い品質で作るべきか?という点に意識を集中させようとしている。

大手製造業の動きを見ながら、中小製造業は何をしておく必要があるのか?

大手製造業も数年先が見えない中で、要望が落ちて来るまで待っていても対応が間に合わない。準備しておくことは、まず要望が落ちて来た時にすぐ対応できる対応力が必要だと感じる。開発、設計、生産技術などのバーチャルな世界と、生産や調達部材などのリアルな世界に分けた場合、後者はかなり取り組みをしていると思うが、今後必要な対応力は前者だと思う。前者は正に自社の技術含めたもの作りの各段階における製品のQCD情報である。人数が少ない中で、社内のメンバーに聞けば分かる、では遅くなるだろう。瞬時に全てを把握して提案できる力が求められるだろう。
中小の新製品作りを支援した中で感じのは、見積もりが中々難しいということだ。色々な人に聞きまくらないと分からない。情報がまとまっていないことが多い。大手の要望に瞬時に対応できるように、情報を集中させておく必要がある。
大手は人数が多いので、当然情報が散らばりがちになり、そこを徹底的に解決しようとしている。中小なら人数も少ないので、皆で集まって一度整理すれば、結構早く対応できるのではないだろうか。

もう一つは、仮説ありきの提案力だ。
完成品を作る力、製品の先にいる市場、顧客を見る力をつける必要があると思う。これまでは要望を聞いて対応する形だったとしても、分野は何でもいいと思うが、製品やそれを使う人を見て、まず何が売れそうか仮説を立てる。それをやってみることで、分野は違っても、大手製造業と同じ視点で考えることが出来るようになると思う。

また敢えて海外へ販売して行くことで、海外で製品を売るとき国内と実際何が違うのか感じることも、大手メーカーと一緒の視点に立つ意味で重要と感じる。

我々も日々感じるが、大手製造業も皆悩んでいて、アイデアが欲しく、提案を待っているのだ。

大手製造業と同じく、中小製造業もドンドン攻めていってもらい、日本の製造業を引き続き支えてもらいたいと思う。

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