中国 上海市場視察レポート
Ⅰ.調査対象
1.中国 上海市場の現状と文化、及び、強みと課題に関する調査
2.ギフト、雑貨市場、及び、日本製品の展開可能性に関する調査
3.外食市場調査、及び、日本食品の展開可能性の調査
Ⅱ.調査結果
1.中国 上海市場の現状と文化、及び、強みと課題に関する調査
〇上海の現状
・上海は、街中や密集して立ち並ぶ高層ビル街が派手なネオンで迫力がある印象だったが、今回は以前より夜景が暗くなったなという印象だった。
・中国では、政治の中心が北京、ビジネスの中心が上海なのだが、上海の街は、人で溢れかえっている。街を歩いていると、人の波に飲まれる感じだ。これだけの人が、日本と同じように消費をするとすると、かなりの市場だと街を見るだけで分かる。
・上海の新天地、豫園、川沿い、少し離れた街等を実際に歩き調査を実施。
・街のど真ん中は、物価は日本と変わらない。一部日本より高い。
・ユニクロの店舗も視察。日本と値段が変わらない。にも関わらず、現地の若い女性は「ユニクロは安いほうだ」と言う。
〇上海の文化
・女性が強い
女性が一番強いといわれており、食事は男性が作るらしい。一方、男性は上海の女性と結婚するためには、マンションや家を持っていることが必須。女性側の親は厳しくチェックする。都心の3LDK程度の家の広さで、金額は、3000万円~5000万円程度なので、あまり日本と変わらない。上海の男性は大変なのだ。
・英語教育
店員の方も、若い方も多かったが、英語の単語すら通じない。
中国は非常に教育熱心で、小学生は教科書が分厚く、キャリーバックで登校しているとか。宿題は毎日3時間位しないと追いつかない。エレベーターが止まってしまって中に小学生が中に閉じ込められ、空けてみると中で小学生が座り込んで宿題をやっていた。小学校の低学年から英語を義務教育としてやっている等々聞いてきたが、英語の単語レベルでも分からないとなると教育が平等にいきわたっていると思えない。小学校、中学までは義務教育で、英語は中学からであり、大学までやっても、英語は話せないという、街でほとんど英語が通じなかった経験から、人によっては、中学の教育も受けられないのかもしれないと感じた。
中国は何でもダイナミックなのだが、繊細さキメ細やかさは全く感じられない。その辺は、日本はすごいと思う。但し、ハングリー精神という意味では、かなりのパワーを感じる。これだけ多くの人、また、貧富の差があれば、競争はつきもので、常にハングリーでいられるだとうと感じる。
2.ギフト、雑貨市場、及び、日本製品の展開可能性に関する調査
〇上海ギフトショー視察
・規模はそれほど大きくない。池袋のサンシャインでの展示会規模程度だった。
・中国では原価は既に高いので、サプライヤーとしては既に競争力がない。
・市場としては、そこにはポテンシャルがある。今の日本の価格で上海に乗り込んでも、日本と同じ位の市場があると感じる。
・ミシンのメーカーが中国にパッチワークを浸透させようと、パッチワークに関する展示が多く出ていた。パッチワークは、かなり暇じゃないと出来ないという認識だが、富裕層で家で時間をもてあましている主婦のニーズがあるのかもしれない。日本からも材料等も持ってきているのだが、生地のデザインによっては比較的高額でもニーズがあるようだった。
・日本企業もおおく出展していた。
・日本のきもの生地のグッズ等、浅草のお店に売ってそうな日本風のアクセサリーに人が集まっていた。また、日本の扇子にも人が群がっていた。
・アニメグッズとしては、やはりワンピースは人気のようだ。
・印刷技術でいうと、人の手でしか対応できないとことは、日本ではコストが合わない。中国ビジネスになってしまうだろう。
〇調査所感
・多くのボリュームが求められているレンジの製品については、既に日本の市場でないと感じるところだ。寧ろ、付加価値を上げ、ある程度高価格でも、日本の強みである繊細さ、丁寧さを強みとした製品やサービスを提供する領域が、日本から見た市場だと感じる。ボリュームが求められるところと、付加価値が求められるところのセグメントの切り分けを行い、作戦を考えることが非常に重要だと感じる。
3.外食市場調査、及び、日本食品の展開可能性の調査
〇外食まだ危険
・中国人曰く、「日本人がその辺のレストランに入るのはいまだ危険だ」ということだった。
・中国の方でもあまりレストランには入らない。理由はきれいなところは高く手が届かない。その辺の店では裏側で衛生観点で
何をされているか分からないからだと。
〇調査所感
・食事の安全性、衛生観点において、日本食の強みを生かせると感じた。
・雑貨と同じく、簡単に言うと大味なので、繊細な日本食展開の可能性は充分有り得る。
余談になるが、「お互い様」と感じたところがあった。
中国では、犬やうさぎや蛇をおいしそうに食べるらしいが、それに対して、「何でそんなもの食べるんだ?気持ち悪いよ。」と率直に聞いてみた。一方、中国の方から見ると、日本人は、「鳥や馬を生で食べる、魚も生で食べる。中国人からするとそんなのはきそうだ。何で食べるんだ?」と聞かれた。なるほど。。確かにそう言われると、鳥や馬を生で食べる日本人は異様だと感じる。お互い様だな、っと中国の人と笑ってしまった。文化の違いはこういう点になるのだなと感じる。何が正しくて、何が間違っていることなどないのだ。お互いの視点から見てば、それぞれ正しいのだ。その文化の違いを理解するためには、やはり腹を割って話す。日本人どうしてもそうだが、国際問題は対人関係そのものなのだなと感じた。
それは日本食を展開する上でもあるだろう。文化や食事をどのように上海の方々に受け入れていただきやすくするか、あるがままを展開して受け入れられればベストだが、そういうものばかりでもないだろう。どうやれば受け入れられるか、工夫が大切だと思う。
ジェイコーディ 松本佳世