事業転換

近年多くの製造業はベースとなる既存の事業だけでは、近い将来生きていけないと実感し、事業転換を図ろうとしている。

新しい事業を立ち上げるためには、自社の技術を使ってこれまでと違う市場向けの新しい製品を作る場合が多い。

一方、製造業は今、本格的な人不足に陥っている。都心は人不足のため、地方創生関係で地方に人材を求めて出た企業が目が点になってしまったのは、何と地方でも人不足だということだ。

製造業は、本格的に人不足解消のため、ものづくりの効率化に乗り出した。生産戦略室、企画室のような部署がどこの会社にもできて、流行りのデジタル化やIoT、AIを駆使した工場や物流の効率化を模索している。

新事業立ち上げるにも人が足りない。違うものを作る工場を2つ作るのもコストがかかる。ただでさえグローバル化が進み、海外仕様のバリエーションも増えて、ものづくりの種類が増えている。開発者は今までのやり方では開発が追いつかない。生産は毎回新商品立ち上げのために設備を変えていては、固定費がかさんで利益が出なくなってしまう。

既存事業の効率化と、新事業立ち上げを同時並行でやらざる終えなくなってきたのだ。

ドイツやアメリカでは、工場やプラントで設備や機械にセンサーを付けて、高効率化や保全に必要なデータをとり改善している。また、人不足や賃金コスト高から、ロボット導入も進んでいる。これらが進めば、コストが安いところで作らなくても良い可能性も出てくる。市場へ運ぶ物流の問題はあるが、コスト構造も変わってくる可能性がある。

あと2年後には、パソコンが入らなくなると言われている。スマホがあれば現在は大抵なことが出来る。若い人たちは、逆にPC買うお金がないからスマホで仕事しようという流れになってきている。確かに不便ではあるが出来ないことはない。

Facebookでビデオ会議も一般的になってきた。何も遠くから時間やお金をかけて集まる必要もないのだ。横にいる同僚に話しかけるように、チャットをすればいいのだ。相手も好きな時に見て回答すれば良い。

現物のものづくりは難しいが、ソフトの開発は遠隔で1つのファイルをリアルタイムに開発が出来るようになってきた。今回もIT企業の地方進出の支援を手伝ったが、そのようなソフトを入れた。仕事のスタイルが急速に変わっていくのだ。

しかし、まだ日本の製造業の工場は紙が主流なのだ。紙はその製品でしか共有されない。課題のフェードバックが難しい。製品は、開発から生産まで通過して初めて製品になる。その間の反省だったり問題だったりが次の機種に反映されなければ、また同じ失敗を繰り返してしまう。今はそれを人が伝達してるのだ。経験豊富な生産のプロしかできない。

新規事業展開も大変な課題だ。既存がある中でどうやって新規事業転換するのか?それは1つは危機感が大きな力になると思う。

最近エルメスの手仕事展に行ってきた。エルメスは多くの日本人の憧れのブランドだ。エルメスの売り上げで一番多いのは日本だそうだ。私はエルメスがどうやってブランドを作ってきたか非常に関心があり書籍もいくつか読んでいるが、エルメスは正に危機感から事業転換しているのだ。

馬車や馬が乗り物の中心であったころ、エルメスは馬具屋だったが、自動車が出てきて馬具が売れなくなってきた。そこで、皮製法の技術をバック等に展開することで、事業転換を図ってきた。エルメスのブランドは、正に製法技術なのだ。職人の技術なのである。

今回の手仕事展は正に職人の技術を見せていた。技術がブランドそのものなのだ。デザインのとのろにデジタル化は見られたが、量産技術ではない。
ものづくり技術自体がブランドになる。という意味では、日本の製品も技術は良いのだ。良いものは高く売ればいい。いかにその技術を感じてもらうか?それが大切だと感じる。